飲食店の確定申告と青色申告
個人事業主が年末にやることと2026年分の期限
この記事の結論
- 2026年分の所得税の確定申告は2027年2月16日から3月15日(月)まで。個人の消費税の申告は3月31日(水)までです。
- 青色申告の65万円控除は、複式簿記で期限内に申告し、e-Taxで送るか優良な電子帳簿で保存する人が対象です。
- 年末は12月31日の棚卸し、店の食材を家で使った分の売上計上、経費の按分、帳簿と電子データの整理をします。
個人で飲食店をしている人は、1月1日から12月31日までの売上と経費をまとめて、翌年に確定申告をします。2026年分(令和8年分)の期限は2027年3月15日(月)です。国税庁の資料(2026年10月時点)をもとに、期限の一覧、青色申告特別控除の条件と2027年分からの見直し、年末までにやっておきたいこと、飲食店ならではの経費と売上の考え方を整理します。
目次
1. 2026年分の確定申告はいつまで? 2. 青色申告の特別控除は65万円・55万円・10万円のどれ? 3. 2027年分から青色申告の控除はどう変わる? 4. 年末までに飲食店がやることは? 5. 飲食店の経費はどう考える? 6. 店の食材や料理を家で食べたら売上になる? 7. 帳簿や領収書は何年残す?電子データはどう保存する? 8. 従業員がいる・インボイスに登録している飲食店は? 9. よくある質問(FAQ) 10. 参考にした情報2026年分の確定申告はいつまで?
2026年分(令和8年分)の所得税の確定申告と納付の期限は、2027年3月15日(月)です。国税庁は、申告期間を原則として翌年2月16日から3月15日までとしています。年明けには、ほかにも期限が来る手続きがあります。
| 手続き | 2026年分の期限 |
|---|---|
| 所得税の確定申告・納付 | 2027年2月16日(火)〜3月15日(月)。振替納税の引き落としは4月23日(金) |
| 消費税の申告・納付(課税事業者) | 2027年3月31日(水)。振替納税の引き落としは4月30日(金) |
| 青色申告承認申請書(2027年分から青色申告にする人) | 2027年3月15日(月)。2027年1月16日以後に開業した人は、開業日から2か月以内 |
| 源泉所得税(納期の特例、7〜12月の給与の分) | 2027年1月20日(水) |
| 給与支払報告書など(従業員がいる人) | 2027年2月1日(月) |
| 償却資産の申告(固定資産税) | 原則1月31日(地方税法第383条)。期限が日曜日などにあたるときは翌日とみなされる(同法第20条の5)ため、2027年は2月1日(月)。お店のある市区町村の案内も確かめる |
※国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」「No.2020 確定申告」「No.2070 青色申告制度」「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」、e-Gov法令検索「地方税法」をもとに作成(2026年10月27日時点)。
開業届や青色申告承認申請書の出し方は飲食店の開業届の書き方と提出方法、個人と法人の分かれ目はうなぎ屋オーナーの税務と確定申告で紹介しています。この記事は、年末から申告までにやることにしぼります。
青色申告の特別控除は65万円・55万円・10万円のどれ?
2026年分の青色申告特別控除は、記帳のしかたと、申告書の出し方・期限で決まります。国税庁「No.2072 青色申告特別控除」(令和8年4月1日現在の法令等)の条件は次のとおりです。
| 控除額 | 主な条件(2026年分) |
|---|---|
| 55万円 | 正規の簿記の原則(一般には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書などを確定申告書につけて、期限(3月15日)までに出す |
| 65万円 | 55万円の条件に加えて、①申告書や決算書を期限までにe-Taxで送る、または②仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿で保存する(原則として届出書の提出が必要) |
| 10万円 | 上の条件にあてはまらない青色申告者(簡易な帳簿の人、期限をすぎて申告した人など) |
期限をすぎると最高10万円になる
55万円と65万円の控除は、期限内に申告することが条件で、還付を受ける申告でも同じです。複式簿記で帳簿をつけていても、3月15日をすぎると控除は最高10万円になります。また、控除できるのは事業所得などの黒字の額までです。青色事業専従者給与や小規模企業共済などの節税策はフランチャイズオーナーの税金・確定申告ガイドで紹介しています。
2027年分から青色申告の控除はどう変わる?
2026年3月31日に成立・公布された「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年度の税制改正)で、2027年分(令和9年分)の所得税から青色申告特別控除が見直されます。2026年分の申告には関係しませんが、2027年1月1日からの帳簿のつけ方に関わるので、年末のうちに確かめておきましょう。
| 記帳と申告のしかた | 2026年分まで | 2027年分から |
|---|---|---|
| 複式簿記+期限内にe-Taxで申告 | 65万円 | 65万円 |
| 上に加えて、優良な電子帳簿の保存など | 65万円 | 75万円 |
| 複式簿記+紙で申告 | 55万円 | 最高10万円 |
| 簡易な帳簿(前々年の事業所得の収入金額1,000万円以下) | 10万円 | 10万円 |
| 簡易な帳簿(同1,000万円超) | 10万円 | 0円 |
※財務省「第221回国会における財務省関連法律」(所得税法等の一部を改正する法律:2026年3月31日成立・公布)とその法律案要綱、財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定)、国税庁のチラシ(2026年4月・8月)をもとに作成。
国税庁のチラシでは、優良な電子帳簿の保存で75万円の控除を受けるには、仕訳帳と総勘定元帳を課税期間の最初から要件どおりに保存し、確定申告期限までに届出書を出す必要があるとしています。個人の課税期間は1月1日からなので、2027年分で75万円をめざすなら、会計ソフトの見直しは2026年のうちにすませておきましょう。
年末までに飲食店がやることは?
いちばん大事なのは、12月31日の棚卸しと、その年の売上と経費をもれなく帳簿に入れることです。国税庁「決算のしかた(青色申告編)」(令和7年10月1日現在の法令等)などをもとに、12月にやることをまとめました。
- 12月31日に棚卸しをする:食材、酒や飲み物、調味料、テイクアウトの容器などの数量を数えて棚卸表を作る。年末にできないときは、できるだけ近い日に行い、12月31日現在の量を計算する
- 12月に提供した分は12月の売上にする:国税庁の資料では、年内に納品した分は、まだ請求していなくても売掛金として売上に入れる。後日まとめて請求する宴会や、入金が翌月になるデリバリーの売上も同じ
- 未払いの経費を入れる:12月分の家賃などをまだ払っていなくても、その年の分ならその年の経費にする
- 店舗兼住宅の費用を按分する:家賃や水道光熱費を、面積や時間など適切な基準で店の分と家の分に分ける
- 家で使った食材や料理(家事消費)を売上に入れる(6章)
- 帳簿・領収書・電子データをそろえる(7章)
- 従業員がいれば年末調整をする(8章)
- 来年分の帳簿のつけ方を決める(3章)
売上原価は、「年初の棚卸高+1年間の仕入高−年末の棚卸高」で計算します。年末に残っている食材は、翌年の分になるからです。評価方法を税務署に届けていない場合は、年末にいちばん近い時期の仕入単価に年末の数量をかけて計算します(最終仕入原価法)。
飲食店の経費はどう考える?
経費になるのは、売上を得るためにかかった費用と、お店の仕事のための費用です。国税庁は、12月31日までに支払う義務が確定したものがその年の経費になり、生活のための費用(家事上の費用)は経費にならないと説明しています。
| 費用 | 考え方 |
|---|---|
| 食材・飲み物の仕入れ | 売上原価として経費。棚卸しで計算する(4章) |
| 容器・割り箸などの消耗品 | 経費。いつもの年とくらべて特に増えていなければ、棚卸しを省略してもよい |
| 店舗兼住宅の家賃・水道光熱費 | 店の分だけが経費(按分する) |
| 店主自身の食事・服 | 家事上の費用なので経費にならない(国税庁は例として食費・衣料費をあげている) |
| 厨房設備・備品 | 10万円未満は、使い始めた年に全額を経費にする。10万円以上20万円未満は、3年で3分の1ずつ経費にする方法も選べる。青色申告者は要件を満たせば、40万円未満(2026年3月31日までの取得は30万円未満)のものを、合計で年300万円まで使い始めた年の経費にできる(2029年3月31日までの取得が対象) |
| デリバリーや決済の手数料、広告など | お店の仕事のための費用として経費 |
※国税庁「No.2210 必要経費の知識」「No.2100 減価償却のあらまし」(令和8年4月1日現在の法令等)、「決算のしかた(青色申告編)」をもとに作成。
従業員のまかないの条件
国税庁は、従業員が食事の価額の半分以上を負担し、店の負担(食事の価額−従業員の負担)が1か月7,500円(消費税等をのぞく)以下なら、給与として課税しなくてよいとしています。この上限は、2026年4月1日以後に出す食事から、月3,500円から引き上げられました。残業や宿日直のときの食事は、無料でも給与として課税しなくてよいとしています。
店の食材や料理を家で食べたら売上になる?
なります。国税庁の「決算のしかた(青色申告編)」では、売りものの食材や商品を家事のために使ったり、人にあげたりした場合も収入金額になると説明しています。店主や家族が店の食材や料理を家で食べた分は、「家事消費」として売上に入れます。金額は原則として通常の販売価額ですが、仕入価額で計上してもかまいません。ただし、仕入価額が通常の販売価額のおおむね70%より低いときは、販売価額の70%の金額にします。
計算の例(仮の数字)
1,000円で出している料理を家族の夕食用に持ち帰り、材料の仕入価額が300円だったとします。300円は販売価額の70%(700円)より低いので、700円を売上に入れます。
白色申告で簡易な帳簿の人は、家事消費を年末に種類ごとに見積もって、まとめて記帳する方法も国税庁が認めています。消費税の課税事業者は、消費税でも家事消費が課税の対象になります。
帳簿や領収書は何年残す?電子データはどう保存する?
青色申告の人は、帳簿・決算の書類・現金や預金の取引の書類を原則7年、そのほかの書類を5年保存します。白色申告の人は、収入や経費を書いた帳簿が7年、書類が5年です。
| 保存するもの | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、売上や経費の帳簿など) | 7年 | 7年(収入や経費を書いた帳簿。それ以外の帳簿は5年) |
| 決算の書類(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など) | 7年 | 5年 |
| 現金・預金の取引の書類(領収書、預金通帳など) | 7年(前々年分の事業所得などが300万円以下なら5年) | 5年 |
| 請求書・見積書・納品書など | 5年 | 5年 |
※国税庁「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」をもとに作成。期間は翌年3月15日の翌日から数えます。課税事業者が仕入税額控除のために保存する請求書や、交付したインボイスの写しは7年です。
ネットで受け取った請求書や領収書は、データのまま保存する
ネットで仕入れたときの領収書や、メールで届いた請求書など、電子データで受け取った取引の書類は、電子データのまま保存します。国税庁のチラシ(令和6年11月)は、改ざん防止の措置(事務処理規程を作って守る方法もある)、確認用のディスプレイやプリンタなどの備え付け、「日付・金額・取引先」での検索の3つを原則のルールとしています。基準期間の売上高が5,000万円以下の人などは、税務調査でデータのダウンロードに応じられれば検索の要件はいりません。原則のルールどおりに保存できないことに所轄の税務署長が認める相当の理由があり、税務調査でデータのダウンロードと、印刷した書面の提示・提出に応じられれば、データを保存しておくだけでよい猶予措置もあります。
また国税庁によると、2023年分の確定申告に対する修正申告などから、売上の帳簿がなかったり記載が不十分だったりすることが税務調査でわかった場合、過少申告加算税などの割合に5%または10%が上乗せされます。レジの売上の記録は毎日まとめておきましょう。
従業員がいる・インボイスに登録している飲食店は?
従業員に給与を払っている飲食店は、12月の年末調整と、1月の源泉所得税の納付・書類の提出があります。インボイスに登録して消費税の課税事業者になっている飲食店は、3月31日までの消費税の申告も必要です。
- 年末調整:1年を通じて働いている人などで、扶養控除等申告書を出している人が対象です。国税庁は、2026年分の年末調整に基礎控除の引上げなどの改正が反映されると案内しています
- 源泉所得税:納期の特例を受けている場合、7月〜12月の給与の分は2027年1月20日(水)までに納めます
- 給与支払報告書:従業員の2027年1月1日現在の住所地の市区町村へ、2月1日(月)までに出します。国税庁の手引によると、2027年1月からは、給与支払報告書を出せば給与所得の源泉徴収票は税務署に出したものとみなされます(従業員への交付は引き続き必要)
- 消費税の2割特例:国税庁の資料では、2023年10月1日から2026年9月30日までの日をふくむ課税期間が対象で、個人は2026年分が最後です。2027年分からの特例や、テイクアウト8%と店内10%の分け方は飲食店のインボイス対応で紹介しています
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よくある質問(FAQ)
参考にした情報
- 国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」:令和8年分の申告所得税・消費税の納期限と振替日、源泉所得税の納期の特例(2026年10月27日確認)
- 国税庁「No.2020 確定申告」:申告期間(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.2070 青色申告制度」:青色申告承認申請書の提出期限(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」:65万円・55万円・10万円の条件(令和8年4月1日現在法令等)
- 財務省「第221回国会における財務省関連法律」:所得税法等の一部を改正する法律(2026年3月31日成立・公布)と法律案要綱(青色申告特別控除の見直し)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定):青色申告特別控除の見直し(令和9年分以後)
- 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」:白色申告の保存期間、簡易な記帳、加算税の加重、チラシ「簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ」(R8.4)・「75万円の青色申告特別控除を適用しましょう!」(2026年8月)
- 国税庁「決算のしかた(青色申告編)」(令和7年10月1日現在の法令等):棚卸し、売掛金、未払経費、家事上の費用、家事消費
- 国税庁「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」:青色申告者の保存期間、消費税の家事消費、2割特例の期間
- 国税庁「No.2210 必要経費の知識」、「No.2100 減価償却のあらまし」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.2594 食事を支給したとき」、「食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて」
- 国税庁「電子取引データを適切に保存できていますか?」(令和6年11月):電子取引データの保存のルールと猶予措置
- 国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」、「令和8年分年末調整のしかた」
- 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」:提出期限 令和9年2月1日(月)
- e-Gov法令検索「地方税法」第383条:償却資産の申告(毎年1月1日現在の資産を1月31日までに)
※この記事は、2026年10月27日に確認した上記の情報をもとにした一般的な説明です。個別の判断は、税務署や税理士にご相談ください。