うなぎ文化 焼き方 食べ方 2026年11月20日

うなぎの関東風・関西風の違いは?/
焼き方と開き方、境目はどこ?

この記事の結論

  • 関東風は背開きにして白焼きにし、蒸してからたれをつけて焼きます。関西風は腹開きにして、蒸さずにたれをつけて焼きます。
  • 静岡新聞は、蒸す関東風はふっくら柔らか、蒸さない関西風は皮がパリッとして身がジューシーと報じています。
  • 静岡新聞は東西の境目を浜名湖のあたりと報じています。浜松市は、関東風と関西風の両方が食べられると案内しています。

うなぎのかば焼きには関東風と関西風があります。いちばん大きな違いは、開き方(背開きか腹開きか)と、たれをつけて焼く前に蒸すかどうかです。関東風は背から開いて白焼きにし、蒸してからたれをつけて焼きます。関西風は腹から開いて白焼きにし、蒸さずにたれをつけて焼き上げます。この記事では、辞典や浜松市の資料、報道をもとに、焼き方の手順、食感のちがい、東西の境目、お店での選び方を説明します。

うなぎの関東風と関西風の違いは?比較表で見る

関東風と関西風のかば焼きのいちばん大きなちがいは、開き方と蒸すかどうかです。百科事典マイペディアは、関東風は背開きにして白焼きにし、一度蒸してから仕上げ、関西風は腹開きにして蒸さずに仕上げる、と説明しています(百科事典マイペディア「蒲焼」)。浜松市も、ホームページで同じちがいを紹介しています(浜松市「浜松のうなぎのヒミツ」)。

関東風と関西風の比較表

くらべること 関東風 関西風
開き方 背開き(背中から開く) 腹開き(おなかから開く)
白焼き する する
蒸す工程 白焼きのあとに蒸す 蒸さない
仕上げ たれをつけて焼く たれをつけて焼く
食感(報道での紹介) ふっくら柔らか 皮はパリッと、身はジューシー

(出典:百科事典マイペディア「蒲焼」、浜松市「浜松のうなぎのヒミツ」2022年度取材・掲載、静岡新聞アットエス 2023年7月29日)

国語辞典の説明もそろっています。デジタル大辞泉は、かば焼きを、白焼きにしてから蒸し、たれをつけて焼いた料理と説明したうえで、関西では蒸さないで焼く、とそえています(デジタル大辞泉「蒲焼」)。

国の食品成分表にも「一般に関東」と書かれている

文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」も、かば焼きは焼き上げる前に蒸す工程を行うことが多い(一般に関東)と説明しています。そのうえで、成分表の「うなぎ かば焼」は、蒸す工程を行わずに作られたもの(多くは関西)で、包装して店頭で売られているものを分析した値だと書いています(文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」第3章 魚介類の説明)。かば焼きのカロリーや栄養の値を見るときは、この点も知っておくとよいでしょう。くわしい値はうなぎのカロリーと栄養で紹介しています。

かば焼きはいつから今の形になった?名前の由来は?

うなぎを開いて焼く今の形は、江戸時代にできました。世界大百科事典(改訂新版)によると、うなぎのかば焼きのいちばん古い記録は、室町時代の料理書『大草家料理書』です。そのころは、うなぎを裂かずに長いまま竹ぐしに通して焼いていました。江戸時代の初めに、うなぎを裂いて開く方法が生まれ、今のような形になりました(世界大百科事典 改訂新版「蒲焼」、百科事典マイペディア「蒲焼」)。

「かば焼き」の名前の由来は?

名前の由来には、いくつかの説があります。コトバンクにのっている辞典がそろって紹介しているのは、うなぎを串に刺して焼いた形(昔の、長いまま串に通した形)が蒲(がま)の穂に似ていたから、という説です(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・百科事典マイペディア「蒲焼」)。世界大百科事典は、ほかに、焼いた皮の色が樺(かば)の木の皮に似ているという「樺焼」説や、焼くにおいがすぐに広がるという「香疾(かばやき)」説も紹介しています(世界大百科事典 改訂新版「蒲焼」)。

うなぎ以外にもかば焼きがある

かば焼きは、うなぎだけの料理名ではありません。辞典では、うなぎ、ハモ、アナゴ、ドジョウなどを開いて骨を取り、たれをつけて焼いた料理と説明されています(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典「蒲焼」)。ただ、代表的なのはやはりうなぎで、世界大百科事典も、かば焼きを「ウナギの代表的な料理」として紹介しています。

関西では「まむし」とも呼ぶ

農林水産省の広報誌「aff」によると、「まむし」は関西でうなぎを指す呼び名です。焼いたうなぎをご飯の間にはさんで蒸す「間蒸し(まむし)」という食べ方が語源だという説があります(農林水産省「aff」2016年7月号)。

背開きと腹開き、なぜ開き方が違う?

関東が背開き、関西が腹開きになった理由は、はっきりとはわかっていません。理由としては、武士と商人の文化のちがいによる、という次の説があります。

この説は、農林水産省の広報誌「aff」(2016年7月号)でも紹介されています。一方で、静岡新聞の記事(2023年7月29日)は、比較食文化論が専門の梅花女子大学・東四柳祥子教授の話として、切腹の説を具体的に書いた文献は見当たらないと報じています。同じ記事で東四柳教授は、江戸時代中期までは江戸でも、腹から開いて頭も落とさずに焼く方法が一般的で、江戸と上方(大阪)で背開き・腹開きに分かれてきたのは江戸時代の終わりごろだと話しています(静岡新聞アットエス、2023年7月29日)。

背開きでも蒸さない地域がある

同じ記事では、長野県岡谷市のうなぎは背開きで、蒸さずに焼く「直焼き」だという地元のお店の話も紹介されています。岡谷では、家庭で自分でさばいて食べていたなごりで背開きが続いた、という話です(静岡新聞アットエス、2023年7月29日)。開き方と蒸し方の組み合わせは、地域によっていろいろあることがわかります。

関東の焼き方は?蒸してから焼く手順

関東風のかば焼きは、背開き → 白焼き → 蒸す → たれをつけて焼くの順に作ります(百科事典マイペディア「蒲焼」、浜松市「浜松のうなぎのヒミツ」)。

  1. 背開きにする:背中から包丁を入れて開き、骨を取ります
  2. 串に刺して白焼きにする:たれをつけずに焼きます
  3. 蒸す:白焼きにしたうなぎを蒸します
  4. たれをつけて焼き上げる:たれをつけて、もう一度焼いて仕上げます

(出典:デジタル大辞泉・百科事典マイペディア「蒲焼」、浜松市「浜松のうなぎのヒミツ」)

「白焼き」とは?

手順2の白焼きは、関東風でも関西風でも通る工程です。文部科学省の食品成分表では、白焼きを、うなぎを開いて頭や骨、内臓などを取り、たれを付けずにそのまま串焼きにしたものと説明しています(文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」第3章)。

蒸すと、どうなる?

静岡新聞の記事は、蒸すことが関東風のふっくら柔らかな食感を生むと紹介しています。同じ記事では、浜松のお店が蒸す時間を短くして、その分しっかり焼いてジューシーさを出す工夫も紹介されています(静岡新聞アットエス、2023年7月29日)。蒸す時間や焼き方は、関東風の中でもお店ごとにちがいます。

猫家の本店(千葉県四街道市)も関東風で、蒸してから焼いています。特大の国産うなぎ(通常の約1.25倍)を、特製のタレで仕上げています。

関西風の焼き方は?蒸さずに焼く手順

関西風のかば焼きは、腹開き → 白焼き → 蒸さずにたれをつけて焼くの順に作ります(百科事典マイペディア「蒲焼」、浜松市「浜松のうなぎのヒミツ」)。

  1. 腹開きにする:おなかから包丁を入れて開き、骨を取ります
  2. 白焼きにする:たれをつけずに焼きます
  3. 蒸さずに、たれをつけて焼き上げる:蒸す工程がないぶん、焼きでしっかり仕上げます

(出典:百科事典マイペディア・精選版 日本国語大辞典「蒲焼」、浜松市「浜松のうなぎのヒミツ」、静岡新聞アットエス 2023年7月29日)

精選版 日本国語大辞典も、関西では蒸さずに、素焼き(白焼き)にしたものにたれをつける、と説明しています。静岡新聞の記事では、このように蒸さずに焼くことを「直焼き」と呼んでいます。

炭火で焼くとおいしいのはなぜ?

関東風でも関西風でも、最後は火で焼いて仕上げます。農林水産省の広報誌「aff」は、火の強い炭がうなぎの表面にたんぱく質の膜をつくってうまみを閉じこめ、外はサクッと、中はふっくら焼き上がると説明しています(農林水産省「aff」2016年7月号)。

食感や味はどう違う?

静岡新聞の記事(2023年7月29日)は、関東風をふっくらと柔らかい食感、関西風をジューシーで食べごたえがあると紹介しています。関西風はしっかり焼くので、皮がパリッとして、身のジューシーさが目立つとも書いています。

食感のちがいと好みの目安

くらべること 関東風 関西風
紹介されている食感 ふっくら柔らか 皮はパリッと、身はジューシー
こんな人に(目安) 柔らかい身が好きな人 パリッとした皮や食べごたえが好きな人

(食感の出典:静岡新聞アットエス 2023年7月29日。「こんな人に」は、この記事での目安です)

静岡新聞の記事の見出しには、浜松のうなぎ料理専門店の店主の言葉として、関東風と関西風は「まったく違う食べ物」と思ったほうがいい、という言葉もあります。どちらがよいというより、食べくらべて好みを見つけるのがおすすめです。

関東風と関西風の境目はどこ?

はっきりした線があるわけではありませんが、静岡県の浜名湖のあたりが境目だと報じられています。静岡新聞の記事(2023年7月29日)は、浜名湖の東側では関東風が多く、西側では関西風が中心だと伝えています。同じ記事は、浜名湖をかかえる浜松市には80軒以上のうなぎ料理専門店があり、関東風を扱う店が61%、関西風を出す店が39%(SBS調べ)だと報じています。調べた時期は記事に書かれていません。

地域ごとのスタイル

地域 主なスタイル 出典
浜名湖の東側 関東風が多い 静岡新聞(2023年7月29日)
浜名湖の西側 関西風が中心 静岡新聞(2023年7月29日)
静岡県浜松市 両方が食べられる(関東風の店61%・関西風の店39%、SBS調べ) 浜松市(2022年度取材)、静岡新聞(2023年7月29日)
長野県岡谷市 背開きで、蒸さずに焼く 静岡新聞(2023年7月29日)

浜松市はホームページで、浜松は東京と大阪の中間にあるので、関東風と関西風の両方のかば焼きが食べられると案内しています(浜松市「浜松のうなぎのヒミツ」2022年度取材・掲載)。ただし岡谷市のように、背開きで蒸さない地域もあります。東と西が1本の線で分かれるのではなく、地域やお店ごとにいろいろなやり方があると考えるとよいでしょう。

うなぎのかば焼きにお金をよく使う都市については、家計調査で見るうなぎの消費で紹介しています。

お店で関東風と関西風を選ぶコツは?

お店を選ぶときは、メニューやホームページの説明を見るか、予約のときに「蒸していますか」と聞くのがかんたんです。次の順に考えると選びやすくなります。

  1. 好みの食感を決める:柔らかい身が好きなら関東風、パリッとした皮や食べごたえが好きなら関西風を目安にします
  2. お店の説明を見る:メニューやホームページに「関東風」「関西風」「蒸し」「直焼き」などと書いてあることがあります
  3. わからなければ聞く:予約や注文のときに「蒸してから焼いていますか」と聞くと確かめられます
  4. 白焼きも試す:浜松市は、かば焼きにせず、白焼きをわさびじょうゆで食べるのもおいしい食べ方だと紹介しています

家でうなぎをおいしく食べるコツはうなぎの美味しい食べ方、夏にうなぎを食べる習わしについては土用の丑の日とは?で紹介しています。

蒸してから焼く関東風のうなぎを

猫家のうなぎは、特大の国産うなぎを蒸してから焼き、特製のタレで仕上げる関東風。
店内でのお食事のほか、テイクアウトやデリバリーでもお楽しみいただけます。

電話予約承ります(本店:千葉県四街道市/夜は21:00〜深夜、平日の昼は11:30〜15:30で予約制)

よくある質問(FAQ)

うなぎの関東風と関西風の一番の違いは?
開き方と、蒸すかどうかです。関東風は背開きにして白焼きにし、蒸してからたれをつけて焼きます。関西風は腹開きにして白焼きにし、蒸さずにたれをつけて焼きます(百科事典マイペディア、浜松市)。
関東はなぜ背開きなの?
はっきりとはわかっていません。武士の文化だった関東では切腹を思わせる腹開きが嫌われた、という説が農林水産省の広報誌「aff」でも紹介されています。ただし静岡新聞(2023年7月29日)は、専門家の話として、この説を具体的に書いた文献は見当たらないと報じています。
関西風のうなぎは蒸さないの?
はい。関西風は、腹開きにして白焼きにしたものを、蒸さずにたれをつけて焼き上げます(百科事典マイペディア、浜松市)。静岡新聞(2023年7月29日)は、このように蒸さずに焼くことを「直焼き」と書いています。
関東風と関西風の境目はどこ?
はっきりした線はありませんが、静岡新聞(2023年7月29日)は浜名湖の東側は関東風が多く、西側は関西風が中心だと報じています。浜松市は、東京と大阪の中間にあるので両方のかば焼きが食べられると案内しています。
食感はどう違う?
静岡新聞(2023年7月29日)は、蒸す関東風をふっくら柔らか、蒸さない関西風を皮がパリッとして身がジューシーと紹介しています。蒸す時間や焼き方はお店ごとにちがうので、食べくらべて好みを見つけるのがおすすめです。
関西でうなぎを「まむし」と呼ぶのはなぜ?
農林水産省の広報誌「aff」(2016年7月号)によると、焼いたうなぎをご飯の間にはさんで蒸す「間蒸し(まむし)」という食べ方が語源だという説があります。

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参考にした情報

※この記事の内容は、2026年10月27日に確認した上記の情報をもとにしています。