業界トピックス(2026年)
国内外に多数の店舗を展開するうなぎ専門のフランチャイズチェーン「鰻の成瀬」について、運営会社フランチャイズビジネスインキュベーションの発行済株式の58.0%を、AIフュージョンキャピタルグループが約5,800万円で取得すると2026年3月31日に発表されました(4月10日に取得完了と発表。一方、株式10%を持つ株主が株式譲渡禁止条項違反を主張して提訴するなど、係争も続いています)。急速な出店拡大で知名度を上げたブランドだっただけに、業界内外で注目が集まっています。既存加盟店オーナーにとって、今後の経営方針の変化が懸念されています。
この記事の結論
- うなぎFCは店舗数や知名度より、本部の財務の健全さや仕入れルートの安定性など、続けられるかどうかで選ぶのが基本です。
- 本部がM&Aされると、メニューやロイヤリティ、仕入れ条件、サポート体制が変わる可能性があります。
- 加盟前に、本部が事業を譲渡した場合の加盟店の権利が契約書に書かれているかを確かめることが大切です。
「鰻の成瀬」に何が起きたのか
「鰻の成瀬」は、リーズナブルな価格帯と効率的なオペレーションで急速に店舗数を伸ばしてきたうなぎ専門フランチャイズです。知名度の高さと出店スピードが注目を集め、2025年6月には390店を超えました。しかし2025年秋以降は閉店が相次ぎ、2026年3月末には約270店に減少。今回のM&Aによって経営の主体が変わることになりました。
これ自体はビジネスとして珍しくない出来事ですが、FCに加盟したオーナーの立場から見ると、大きな不確定要素が生まれます。なぜなら、M&A後の新経営陣が、現加盟店との契約条件や本部サポートをどのように引き継ぐかは、加盟店側にはコントロールできないからです。
M&Aが加盟店オーナーに与えるリスク
FC加盟店にとって、本部のM&Aは単なる「会社のニュース」ではありません。具体的に以下のような影響が出る可能性があります。
ブランド・メニューの変更
新オーナーがコンセプトやメニュー体系を刷新する場合、既存加盟店は対応コストを負担しなければならないケースがあります。
ロイヤリティ体系・仕入れ条件の見直し
利益を優先する新経営陣が、ロイヤリティ引き上げや指定仕入れ価格の変更を行う可能性があります。加盟契約書の内容次第では、拒否が難しい場合も。
本部サポートの縮小・質の低下
M&A後はコスト削減が優先されることが多く、これまで提供されていたスーパーバイザー訪問や研修の頻度が下がるリスクがあります。
出店戦略の変更による競合激化
新体制が積極的な多店舗展開を進めた場合、既存加盟店の商圏が侵食されるリスクがあります。
ブランドイメージの低下
経営体制の変化が外部に報道されることで、消費者の信頼が揺らぎ、集客に影響が出るケースがあります。
「急拡大ブランド」に潜む落とし穴
FC加盟を検討する際、「店舗数が多い=安全」と考える方が少なくありません。しかし今回の件は、その認識を改める良いきっかけです。
急速な店舗拡大には、一定の資金力と運営体制が必要です。出店スピードが収益基盤の整備を上回った場合、ブランドの持続可能性に疑問符がつくことになります。実際にM&Aという形で経営が移転した背景には、何らかの事業上の判断があったはずです。
規模より「持続性」で選ぶ
加盟検討時には店舗数・知名度だけでなく、本部の財務健全性・創業者の経営継続意思・加盟店の平均継続年数などを確認することが、長期的な安定につながります。
うなぎ専門店として長年の実績を持つ安定した本部を選ぶことが、加盟後の経営安定には不可欠です。
FC本部を選ぶ前に確認すべき5つのポイント
今回の件を踏まえ、うなぎフランチャイズ加盟の前に必ず確認すべき5つのチェックポイントをまとめます。
| 確認ポイント | 確認方法・注目すべき点 |
|---|---|
| ① 本部の資本構成・財務健全性 | 外部ファンドや投資家が入っていないか。創業者が過半数の株を持ち続けているか。 |
| ② 事業譲渡時の契約上の取り扱い | 加盟契約書に「本部が事業を譲渡した場合の加盟店の権利」が明記されているか。 |
| ③ 創業者・現場責任者との距離 | 担当者が本部スタッフ経由ではなく、創業者や実経験者に直接相談できるか。 |
| ④ 仕入れルートの安定性と透明性 | 本部が変わっても継続できる独自の仕入れ網があるか。価格の透明性はあるか。 |
| ⑤ 既存加盟店の平均継続年数 | 早期解約・閉店が多くないか。開業後3年以上継続している店舗の比率を確認。 |
安定経営を実現するFCの条件
今回の「鰻の成瀬」M&Aは、業界全体に一つの問いを投げかけています。それは「スケールしたブランドに乗るか、地に足のついた独立系に加盟するか」という選択です。
猫家は、千葉・四街道を拠点とするうなぎ屋です。まだ加盟店はなく、最初の3店舗を募集しています。
急拡大型FCのリスク
- ・ 投資家・ファンドの意向で方針が変わる
- ・ M&Aによる経営体制の変化
- ・ 拡大優先でサポート体制が手薄に
- ・ 商圏保護が不明確になりやすい
- ・ コスト削減でブランドクオリティが低下
猫家FCの特徴
- ・ うなぎ屋に必要なことは研修とマニュアルで教える
- ・ うなぎの仕入れは本部が担う
- ・ 加盟金150万円(保証金込み)・ロイヤリティ売上の4%
- ・ 最初の3店舗はモデルケースとしてロイヤリティ3%
猫家がめざすのは、「加盟店の数」ではなく「加盟店1軒1軒の成功」です。
うなぎフランチャイズを検討するなら、今こそ本部選びの基準を「知名度・店舗数」から「安定性・透明性・創業者との距離感」へとシフトするタイミングかもしれません。