うなぎグルメ 山椒 食べ方 2026年11月24日

うなぎに山椒をかけるのはなぜ?/
理由の説・種類・産地とかけ方のコツ

この記事の結論

  • うなぎに山椒をかける理由は1つではなく、昔の養殖うなぎの臭み消しという説などがあります。
  • うなぎにふるのは、熟した実の皮を粉にした粉山椒です。ほかに実山椒や木の芽があります。
  • 山椒の収穫量は和歌山県が全国の約3分の2で、令和5年産は461.8トン中307.8トンです。

うなぎのかば焼きに山椒をかけるのは、昔からの習慣です。農林水産省の広報誌『aff』(2016年7月号)は、昔の養殖うなぎの臭みを消すために山椒が添えられ、今も習慣として残っている、という説明を紹介しています。この記事では、山椒の種類(実・粉山椒・木の芽)、和歌山県が中心の産地の統計、うなぎへのかけ方のコツまで順番にまとめます。

うなぎに山椒をかけるのはなぜ?

うなぎに山椒をかける理由は、1つに決まっているわけではありません。ここでは、公的な資料で確かめられた説明と、食べる人の好みとして語られることを分けて紹介します。

説明1:昔の養殖うなぎの臭みを消すため、という説

農林水産省の広報誌『aff(あふ)』2016年7月号は、「蒲焼きにどうして山椒をかけるの?」という問いを取り上げています。そこでは、昔の養殖うなぎはえさの影響で臭みがとても強く、その臭みを消すために山椒が添えられ、今も習慣として残っている、という説明を紹介しています。

魚のにおいを山椒でおさえる考え方は、ほかの料理にも見られます。農林水産省の「うちの郷土料理」で紹介されている滋賀県の「小あゆの山椒煮」のページでは、淡水魚には独特のにおいがあるため、しょうがや山椒を一緒に煮ることが多いと説明しています。

説明2:脂っこいうなぎの消化を助ける、という説明

同じ『aff』は、山椒が胃酸に働きかけて、脂っこいうなぎの消化を助けるという説明ものせています。ただし、うなぎにふる程度の量でどのくらいちがいが出るのかを示す資料は、この記事を書くにあたって確かめられませんでした。体への効果を期待するより、味と香りを楽しむ薬味と考えるのがよいでしょう。

好みとして語られること:香りと後味

山椒をかけると、さわやかな香りとピリッとした辛みが加わります。「脂ののったうなぎがさっぱり感じる」「甘めのたれに変化がつく」と感じて山椒をかける人もいますが、これは好みの話で、感じ方は人によってちがいます。

辞典でも、山椒とうなぎの結びつきは強く書かれています。『日本大百科全書(ニッポニカ)』は、粉山椒をうなぎの蒲焼きに欠かせない和風の香辛料と説明しています。『世界大百科事典』も、粉ザンショウを蒲焼や焼き鳥などの薬味にするものとして紹介しています。

山椒とはどんな香辛料?

山椒(さんしょう)は、ミカン科の落葉低木で、その実や若い葉を使う日本の香辛料です(『日本大百科全書』『世界大百科事典』)。

『世界大百科事典』によると、山椒は北海道から九州までの山地に自生し、人家にも植えられています。高さは2〜3mほどになり、葉の付け根には1対のとげがあります。古い名前は「はじかみ」です。

『日本大百科全書』では、辛みのおもな成分はサンショオール、香りのおもな成分はフェランドレン、オイゲノール、シトロネラールと説明しています。和歌山県有田川町は、山椒は古くから薬や香辛料として使われてきたと紹介しています。

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」

小柄でも強い意志やすぐれた才覚をもち、あなどれない人を山椒にたとえたことわざです(有田川町のページより)。山椒は小さな粒でも、少し加えるだけで料理の味と香りを変えます。

実山椒・粉山椒・木の芽はどう違う?

山椒は、使う部分と収穫する時期によって、名前と使い方が変わります。うなぎのかば焼きにふるのは、熟した実を乾かして粉にした粉山椒です。

名前 使う部分・時期 おもな使い方
木の芽 春の新芽や若い葉 吸い物に浮かべる、あえ物・酢の物、煮物の香りづけ
花山椒 4〜5月ごろにつく小さな花 つくだ煮ふうに煮て、付け合わせに
実山椒(青山椒) 熟す前の緑色の実 おもにつくだ煮
粉山椒 熟した実を乾かし、皮を粉にしたもの うなぎのかば焼きや焼き鳥の薬味、七味唐辛子の材料の一つ

(出典:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『世界大百科事典』、和歌山県海草振興局「サンショウ」)

和歌山県海草振興局のページでは、熟す前の実の「実山椒」はおもに佃煮などに、完熟した実を乾燥させた「乾山椒」は、皮を粉にして香辛料や生薬などに使うと紹介しています(和歌山県の「ぶどう山椒」の資料では、乾山椒の読みを「ひざんしょう」としています)。同じページによると、和歌山県紀美野町では、出荷は5月はじめの緑色の実から始まり、乾かした実を出す8月下旬まで続きます。

和歌山県有田川町は、山椒の新芽や若葉を「和のハーブ」、実を「和のスパイス」として紹介しています。

山椒の産地はどこ?和歌山県が全国の約3分の2

山椒の収穫量がいちばん多いのは和歌山県です。農林水産省「特産果樹生産動態等調査」(令和5年産)では、全国の収穫量461.8トンのうち、和歌山県が307.8トンで、約67%(約3分の2)をしめています。

都道府県 栽培面積 収穫量 全国にしめる割合
和歌山県 168.7ha 307.8トン 約66.7%
高知県 53.5ha 63.3トン 約13.7%
兵庫県 39.1ha 45.8トン 約9.9%
岐阜県 17.4ha 14.1トン 約3.1%
全国計 309.5ha 461.8トン 100%

(出典:農林水産省「令和5年産 特産果樹生産動態等調査」種類別栽培状況(都道府県)、e-Stat 2026年3月18日公開。割合は収穫量から計算。表は収穫量の多い4県で、全国計は調査した都道府県の合計です。岡山県は収穫量の値がのっていないため、全国計にふくまれていません。この調査は、作物統計の対象にならない果樹のうち、都道府県内で50アール以上栽培され、出荷の実績がある品目を調べたものです)

同じ調査では、和歌山県の主な産地は有田川町・紀美野町・紀の川市です。和歌山県の出荷量297トンのうち、255.5トンが加工向けでした。農林水産省の「都道府県の農林水産業の概要(令和8年版)」でも、和歌山県のサンショウの収穫量は全国1位となっています。

ぶどう山椒は有田川町が発祥

和歌山県の資料によると、「ぶどう山椒」は、ぶどうの房のように実る山椒の品種で、粒が大きく肉厚で、ピリッとした辛みと強い香りが特徴です。有田川町の清水地区が発祥の地として知られ、天保時代(1830〜1844年)に遠井地区に自生していたものを植えたのが始まり、と紹介されています。

うなぎそのものの産地や選び方は、国産うなぎの特徴と選び方で紹介しています。

うなぎへの山椒のかけ方のコツは?

山椒は少しの量でも香りが大きく変わるので、少しずつ試すのがコツです。次の順番で試すと、自分に合う量が見つけやすくなります。

  1. まずは何もかけずに一口食べて、うなぎとたれの味を確かめる
  2. 粉山椒をほんの少し、ご飯ではなくうなぎの身の上にふる
  3. 足りなければ少しずつ足す。一度にたくさんかけない
  4. 香りを楽しむため、かけるのは食べる直前にする
  5. うな重やうな丼なら、半分はそのまま、半分は山椒をかけて食べくらべる

白焼きにもかけていい?

かけてかまいません。白焼きは、たれを付けずに焼いたうなぎです。わさびやしょうゆを添えて食べるほか、山椒を少しふって香りの変化を楽しむ食べ方もあります。どれが正しいということはないので、好みで選びましょう。

粉山椒の保存

開けた粉山椒は、ふたをしっかり閉めて、商品の表示にある方法で保存しましょう。少量のものを選んで、早めに使い切るのも一つの方法です。実山椒のつくだ煮を添えたり、木の芽を飾ったりして、山椒のちがう部分を楽しむのもよいでしょう。うなぎの食べ方のアレンジは、うなぎの美味しい食べ方でも紹介しています。

猫家の本店(千葉県四街道市)は関東風のうなぎ屋で、特大の国産うなぎを蒸してから焼き、特製のタレで仕上げています。どのお店のうなぎでも、まずはそのまま一口、次に山椒を少し、と食べくらべると、山椒の役割がよくわかります。

山椒は体にいいの?効果はどこまでわかっている?

山椒は昔から薬としても使われてきましたが、うなぎにふる程度の量での効果を示す資料は確かめられませんでした。

和歌山県海草振興局は、乾山椒の皮を香辛料のほか、生薬などにも使うと紹介しています。『世界大百科事典』も、山椒が古くから薬として用いられてきたことにふれています。一方で、うなぎにふるくらいの量で体にどんな効果があるのかをはっきり示す公的な資料は、この記事では見つけられませんでした。

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」には「さんしょう 粉」がのっていて、100gあたり375kcalです。ただ、1回にふる量はごく少しです。計算の例(仮の数字)として、0.1gなら約0.4kcalです。

山椒は、味と香りを楽しむための薬味です。病気で治療中の人や、医師から食事の指導を受けている人は、その指示を優先してください。うなぎそのものの栄養はうなぎのカロリーと栄養で紹介しています。

山椒が苦手な人や子どもはどうする?

山椒はかけなくても、うなぎを楽しめます。辛みや香りが苦手な人は、無理にかけなくてかまいません。

小さな子どもに山椒を使ってよい年齢について、国が決めた目安は、この記事を書くにあたって見つけられませんでした。山椒はピリッとした辛みのある香辛料なので、子どもには使わないか、ほんの少しにして様子を見ましょう。気になることは、医師や保健師に相談してください。

山椒のかわりに、わさびや刻みのり、ねぎなど、ほかの薬味を合わせる人もいます。薬味を変えるだけで、同じうなぎでも味の印象が変わります。いろいろ試して、好きな食べ方を見つけてください。

関東風のうなぎを店内でもテイクアウトでも

猫家のうなぎは、特大の国産うなぎを蒸してから焼き、特製のタレで仕上げる関東風。
店内でのお食事のほか、テイクアウトやデリバリーでもお楽しみいただけます。

電話予約承ります(本店:千葉県四街道市/夜は21:00〜深夜、平日の昼は11:30〜15:30で予約制)

よくある質問(FAQ)

うなぎに山椒をかけるのはなぜ?
理由は1つに決まっていません。農林水産省の広報誌『aff』(2016年7月号)は、昔の養殖うなぎの臭みを消すために山椒が添えられ、今も習慣として残っている、という説明を紹介しています。香りや辛みで味に変化がつくのを楽しんで、山椒をかける人もいます。
うなぎにかけるのはどの山椒?
熟した実を乾かし、皮を粉にした粉山椒です。山椒には、若い葉の「木の芽」、熟す前の実の「実山椒(青山椒)」、花の「花山椒」もあり、それぞれ使い方がちがいます。
山椒の産地はどこ?
和歌山県です。農林水産省「特産果樹生産動態等調査」(令和5年産)では、全国の収穫量461.8トンのうち、和歌山県が307.8トンで約3分の2です。次いで高知県63.3トン、兵庫県45.8トンです。
山椒をかけるタイミングは?
まず何もかけずに一口食べて味を確かめ、そのあと粉山椒を少しずつふるのがおすすめです。香りを楽しむため、かけるのは食べる直前にしましょう。
山椒は体にいい?
山椒は昔から薬としても使われてきましたが、うなぎにふる程度の量での効果を示す資料は、この記事では確かめられませんでした。味と香りを楽しむ薬味として使いましょう。

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参考にした情報

※この記事の内容は、2026年10月27日に確認した上記の情報をもとにしています。山椒をかける理由は「説明」や「好み」として紹介しています。