うなぎ文化 食べ合わせ 言い伝え 2026年11月14日

うなぎと梅干しの食べ合わせは悪い?/
言い伝えの由来と公的資料の答え

この記事の結論

  • うなぎと梅干しを一緒に食べると体に悪い、という科学的な根拠は確かめられていません。
  • 由来には、ぜいたくや食べすぎのいましめ説と、養生訓の銀杏との取り違え説があります。
  • 一緒に食べるなら、組み合わせより梅干しの塩分と、うなぎを食べる量に気をつけましょう。

「うなぎと梅干しは一緒に食べても大丈夫?」への答えです。農林水産省の広報誌『aff』(2016年7月号)は、この食べ合わせに医学的な根拠はないと説明しています。食い合わせを調べた研究(久保和弘、2009年)も、梅干しが食欲を増す作用に科学的な根拠は見当たらないとしています。この記事では、言い伝えの由来の説と、一緒に食べるときに本当に気をつけたいことを、出典つきでまとめます。

うなぎと梅干しは本当に食べ合わせが悪い?

うなぎと梅干しを一緒に食べると体に悪い、という科学的な根拠は、公的機関や研究の資料では確かめられていません。昔から伝わる言い伝えの一つと考えてよいでしょう。

農林水産省の広報誌『aff(あふ)』2016年7月号は、うなぎの特集で「ウナギと食べ合わせの悪い食べ物って?」という問いを取り上げています。そこでは梅干しについて、食べ合わせが良くないという話に医学的な根拠はないと説明しています。

研究の資料もあります。久保和弘さんの論文「食い合わせに関する調査」(奈良文化女子短期大学紀要、2009年)は、本やインターネットに広まっている食い合わせを集め、科学的な根拠があるかを調べたものです。その一覧には「鰻と梅干し」も入っています。論文は、梅干しの酸味で食欲が増してうなぎを食べすぎる、という見方について、梅干しが食欲を増す作用に科学的な根拠は見当たらないと書いています。

資料ごとの書かれ方

資料(時点) うなぎと梅干しについて書かれていること
農林水産省『aff』(2016年7月号) 食べ合わせが良くないという話に、医学的な根拠はない
久保和弘「食い合わせに関する調査」(2009年) 梅干しが食欲を増す作用について、科学的な根拠は見当たらない
『世界大百科事典』(平凡社、2007年)※ 「食合せ」の項で、最も危険な食べ合わせとして扱われてきた例の一つに「ウナギと梅干し」が挙げられている

※『世界大百科事典』の内容は、香川県立図書館が国立国会図書館の「レファレンス協同データベース」にまとめた調べ方の記録「『食合せ』について」によります。

つまり、「うなぎと梅干しは食べ合わせが悪い」という話は昔から広く知られてきましたが、それを裏づける資料は見つかっていない、というのが今わかっていることです。ただし、食物アレルギーがある人や、病気で医師から食事の指導を受けている人は、その指示を優先してください。

なぜ「うなぎと梅干しは食べ合わせが悪い」という言い伝えがあるの?

この言い伝えがどこから来たのかは、1つに決まっていません。農林水産省の『aff』(2016年7月号)は、2つの説を紹介しています。

説1:ぜいたくや食べすぎをいましめるためという説

梅干しを食べると胃酸が出て食欲が増し、うなぎをたくさん食べてしまうので、ぜいたくや食べすぎをいましめるために伝えられた、という説があります(農林水産省『aff』2016年7月号)。

久保(2009)も、梅干しの酸味で食欲が増してうなぎを食べすぎてしまう、という見方を紹介しています。ただし先に書いたとおり、梅干しが食欲を増す作用については、科学的な根拠は見当たらないとしています。

説2:『養生訓』の「銀杏」と取り違えたという説

江戸時代の儒学者、貝原益軒(かいばら えきけん)が書いた『養生訓(ようじょうくん)』には、うなぎと銀杏(ぎんなん)の食べ合わせが悪いという記載があり、それがいつの間にか梅干しと取り違えられた、という説もあります(農林水産省『aff』2016年7月号)。なお、この記事では『養生訓』の原文までは確かめていません。

説は、あくまで説

どちらも「〜という説がある」という紹介で、どれが正しいかを決める資料は見つかっていません。言い伝えが生まれた理由と、本当に体に悪いかどうかは、分けて考えるとわかりやすくなります。

「食べ合わせ(食い合わせ)」とは何?

食べ合わせ(食い合わせ)とは、一緒に食べると体に害がある、と昔から伝えられてきた食べ物の組み合わせのことです。久保(2009)は、国語辞典『広辞苑』(第5版)をもとに、一緒に食べると害になるもの、また、それを一緒に食べることを禁じること、と説明しています。

古い本にも書かれてきた

久保(2009)によると、食い合わせの言い伝えは、南北朝時代の百科事典『拾芥抄(しゅうがいしょう)』や、江戸時代の『養生訓』などに書かれています。明治時代にも、食べ合わせをまとめた本が出ていました。香川県立図書館の調べ方の記録では、『日用食物喰合心得』(明治27年)などが、国立国会図書館のデジタル資料で読める本として紹介されています。

うなぎにまつわる言い伝えでは、夏の「土用の丑の日」も有名です。由来は土用の丑の日の記事で紹介しています。

研究ではどう考えられている?

久保(2009)は、集めた食い合わせの多くについて、人だけでなく、動物や細胞を使った実験でも、害を確かめた報告が見当たらないとまとめています。そして、健康な人がバランスのよい食事をしている限り、いわゆる食い合わせは問題にならないと考えられる、と結論づけています。

一方で、論文は食物アレルギーは別だと書いています。アレルギーは、食べ合わせではなく、原因になる食べ物そのものによって起こるからです。

うなぎと銀杏など、ほかの食べ合わせの言い伝えは?

うなぎには、梅干しのほかに銀杏との食べ合わせの言い伝えもあります。うなぎ以外にも、有名な言い伝えがいくつかあります。資料での扱いをまとめました。

言い伝え 資料での扱い
うなぎと梅干し 農林水産省『aff』は医学的な根拠はないと説明。久保(2009)は、梅干しが食欲を増す作用の科学的な根拠は見当たらないと説明
うなぎと銀杏 『養生訓』に記載があると『aff』が紹介。久保(2009)の一覧では、理由そのものがわからない組み合わせに分類
てんぷらとスイカ、そばとタニシ 『世界大百科事典』で、ウナギと梅干しとならんで、最も危険な食べ合わせとして扱われてきた例に挙げられている(香川県立図書館の調べ方の記録による)

久保(2009)は、食べ物で体に害が出やすいのは、主にたくさん食べたときで、ふつうの食事では起こりにくいとまとめています。組み合わせを気にするより、1回に食べる量や、毎日の食事のかたよりに目を向けるほうが、現実的です。

うなぎと梅干しを一緒に食べるとき、気をつけたいことは?

気をつけたいのは組み合わせではなく、梅干しの塩分と、うなぎを食べる量や回数です。数字は、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」と、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で確かめました。

梅干しは塩分が多い

食品(100gあたり) 食塩相当量
梅干し 塩漬 18.2g
梅干し 調味漬 7.6g
うなぎ かば焼 1.3g
うなぎ 白焼き 0.3g

(出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。梅干しは、種を除いた食べる部分100gあたりの値です)

計算の例(仮の数字)として、種を除いた梅干しを10g食べると、塩漬なら食塩相当量は約1.8g、調味漬なら約0.8gです。食事摂取基準(2025年版)では、食塩相当量の1日の目標量を、成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満としています。梅干しの大きさや塩分は商品でちがうので、包装の栄養成分表示も見てみましょう。

かば焼の1.3gは、たれを塗って焼いたうなぎ100gの値で、ご飯にかけるたれの分は入っていません。うな重に梅干しを添えるときは、たれの量と合わせて考えるとよいでしょう。

うなぎはビタミンAが多い

うなぎのかば焼100gには、ビタミンAが1,500μgRAE(レチノール活性当量)入っています(成分表)。食事摂取基準(2025年版)では、18歳以上のビタミンAの耐容上限量を1日2,700μgRAEとしています。耐容上限量とは、健康への害が出るおそれがないとみなされる、ふだんとり続ける量(習慣的な摂取量)の上限です。1回の食事ではなく、ふだんの量の目安なので、毎日たくさん食べ続けるのは控えましょう。栄養のくわしい値はうなぎのカロリーと栄養の記事で紹介しています。

薬を飲んでいる人や妊娠中の人は

久保(2009)は、いわゆる食い合わせよりも、食品と薬の「飲み合わせ」に注意が必要だとまとめています。薬を飲んでいる人は、食べ物との組み合わせを医師や薬剤師に確かめましょう。妊娠中の人は、ビタミンAのとり方について妊娠中のうなぎの食べ方の記事も参考にし、気になることは医師や保健師に相談してください。

梅干しと魚を一緒に使う料理はある?

あります。農林水産省の「うちの郷土料理」では、滋賀県の「小あゆの山椒煮」が紹介されています。琵琶湖でとれる小アユを、しょうゆや砂糖などで煮て、とちゅうで梅干しと山椒を加えて煮る、湖魚の佃煮です。

同じページでは、淡水魚には独特のにおいがあるため、そのにおいを消すために、しょうがや山椒を一緒に煮ることが多いと説明しています。うなぎの料理ではありませんが、梅干しは魚料理の味つけにも使われてきた食材です。

うなぎの食事に梅干しや漬物を添えるかどうかは、好みで選んでかまいません。うなぎの食べ方のアレンジはうなぎの美味しい食べ方でも紹介しています。

猫家の本店(千葉県四街道市)は関東風のうなぎ屋で、うなぎを蒸してから焼き、特製のタレで仕上げています。

食べ合わせが気になる人は、どう考えればいい?

「うなぎと梅干し」のような食べ合わせは、体に悪いと決めつける資料はなく、昔の暮らしから生まれた言い伝えとして知っておくのがよいでしょう。そのうえで、次の5つを確かめておくと安心です。

  1. 食物アレルギーがある人は、原因の食べ物を避ける(食べ合わせとは別の話です)
  2. 梅干しや漬物、たれを足しすぎて、塩分が多くなりすぎないようにする
  3. うなぎは毎日たくさん食べ続けず、ほかの魚や肉とも組み合わせる
  4. 薬を飲んでいる人は、食べ物との組み合わせを医師や薬剤師に確かめる
  5. 妊娠中の人や小さな子どもについて気になることは、医師や保健師に相談する

言い伝えの由来を知ると、うなぎの食事の話題も広がります。食べ合わせを怖がりすぎず、量と塩分に気をつけて楽しみましょう。

関東風のうなぎを店内でもテイクアウトでも

猫家のうなぎは、特大の国産うなぎを蒸してから焼き、特製のタレで仕上げる関東風。
店内でのお食事のほか、テイクアウトやデリバリーでもお楽しみいただけます。

電話予約承ります(本店:千葉県四街道市/夜は21:00〜深夜、平日の昼は11:30〜15:30で予約制)

よくある質問(FAQ)

うなぎと梅干しを一緒に食べても大丈夫?
うなぎと梅干しを一緒に食べると体に悪い、という科学的な根拠は確かめられていません。農林水産省の広報誌『aff』(2016年7月号)は、この食べ合わせに医学的な根拠はないと説明しています。気をつけたいのは組み合わせより、梅干しの塩分と、うなぎを食べる量です。
なぜうなぎと梅干しは食べ合わせが悪いと言い伝えられてきたの?
由来は1つに決まっていません。農林水産省の『aff』(2016年7月号)は、梅干しで食欲が増してうなぎを食べすぎないよう、ぜいたくや食べすぎをいましめたという説と、『養生訓』にある銀杏との食べ合わせが梅干しと取り違えられたという説を紹介しています。
うなぎと銀杏の食べ合わせは?
『養生訓』に、うなぎと銀杏の食べ合わせが悪いという記載があると『aff』(2016年7月号)が紹介しています。食い合わせを調べた久保(2009)の一覧では、理由そのものがわからない組み合わせに分類されています。
梅干しを添えるときに気をつけることは?
梅干しは塩分が多い食品です。成分表では、梅干し(塩漬)の食塩相当量は100gあたり18.2g、調味漬は7.6gです。食事摂取基準(2025年版)の食塩相当量の目標量は、成人男性で1日7.5g未満、女性で6.5g未満です。
薬を飲んでいるときは?
久保(2009)は、いわゆる食い合わせよりも、食品と薬の飲み合わせに注意が必要だとまとめています。薬を飲んでいる人は、食べ物との組み合わせを医師や薬剤師に確かめましょう。

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参考にした情報

※この記事の内容は、2026年10月27日に確認した上記の情報をもとにしています。言い伝えの由来は「説」として紹介しています。