うなぎ業界 養殖 産地 2026年5月6日

うなぎ養殖の現状と仕組み
/国内の主要養殖地・完全養殖技術の最前線【2026年版】

この記事の結論

  • 日本で流通するうなぎの約99%は養殖ですが、稚魚のシラスウナギを天然で獲って育てる方式です。
  • 国の統計(令和7年)では、うなぎ養殖生産量1万7,557トンのうち鹿児島・愛知・宮崎・静岡の4県で約94%を占めます。
  • 卵からの完全養殖は2010年に成功しましたが、生産コストが高く、まだ商業化には至っていません。

日本で流通するうなぎの約99%が養殖うなぎです。しかし「養殖」と一言で言っても、その実態はシラスウナギ(稚魚)を天然で獲って育てる不完全養殖であり、稚魚の不漁・価格高騰・絶滅危惧種指定という業界課題に直面しています。本記事では2026年最新情報として、うなぎ養殖の歴史・仕組み・国内主要産地・完全養殖技術の最前線まで徹底解説します。

うなぎ養殖の歴史(明治初期〜現代)

日本のうなぎ養殖は、明治12年(1879年)に東京・深川で服部倉治郎(はっとり・くらじろう)が始めたのが始まりとされています。当初はシラスウナギを天然で捕獲し、池で育てるという現代の手法とほぼ同じ方式でした。

明治〜大正:養殖技術の確立期

明治後期になると静岡県の浜名湖周辺で養殖が本格化し、「浜松うなぎ」のブランドが全国に知られるようになります。大正期には養殖技術が体系化され、温泉熱や地下水を利用した飼育方法が確立されました。

昭和:高度経済成長と量産化

戦後の高度経済成長期には、うなぎが大衆食として普及。明治27年(1894年)に愛知県水産試験場が三河一色町(現西尾市)に設置されたことを契機にうなぎ養殖が始まり、昭和37〜43年(1962〜1968年)に養殖池が急拡大、「一色うなぎ」が一大産地として全国的に知られるようになりました。土用の丑の日の販売文化も全国に広がり、消費量は爆発的に増加します。

平成〜令和:シラスウナギ問題と海外シフト

シラスウナギの国内採捕量は1960年代から1980年代前半にかけて大きく減り、その後も年5〜30トン程度の低い水準で推移しています。1980年代後半からは中国・台湾からの輸入が急増し、2000年には国内供給量が約16万トンに達しました。2014年にはニホンウナギが国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定され、業界は持続可能性を模索する段階に入っています。

うなぎ養殖の仕組みと工程(シラスウナギ→出荷まで)

うなぎ養殖の基本工程を時系列で解説します。稚魚から出荷まで通常6ヶ月〜1年半かかります。

工程1:シラスウナギの捕獲

毎年12月〜翌4月、河川の河口部に上ってくるシラスウナギを夜間に捕獲します。5〜6cm・0.2g程度の透明な稚魚で、許可漁業者のみが網で採取できます。1kg(約5,000〜6,000匹)あたり数百万円という超高値で取引されることもあります。

工程2:池入れと初期飼育

捕獲したシラスウナギは養殖池(ハウス内の温水池)に入れられ、水温28〜30度で飼育されます。初期飼料はイトミミズや配合飼料で、徐々に魚粉ベースの専用飼料に切り替えていきます。

工程3:成育期間

シラスウナギは半年〜1年半かけて体重180〜250gの出荷サイズに成長します。途中、サイズごとに選別し、池を移し替えます。水質管理・酸素管理・病気予防が品質を左右する最重要工程です。

工程4:出荷前の活け締めと加工

出荷直前は数日間絶食させて泥抜きを行い、活魚または蒲焼きの状態で全国へ出荷されます。蒲焼き加工は専用工場で機械化されており、高品質を均一に保つ仕組みが整っています。

国内の主要養殖地TOP5(鹿児島・愛知・宮崎・静岡・三重)

農林水産省の統計(令和7年)では、うなぎの養殖生産量1万7,557トンのうち、鹿児島・愛知・宮崎・静岡の4県で約94%を占めています。

順位 産地 シェア 特徴
1位 鹿児島県 約42% 大隅半島中心。豊富な地下水と温暖な気候
2位 愛知県 約24% 三河一色町。古くからの養殖名産地
3位 宮崎県 約18% 新富町中心。温泉熱を活用した飼育
4位 静岡県 約10% 浜名湖周辺。日本養殖発祥の地
5位 三重県 —(上位4県以外の合計で約6%) 四日市・津市。伝統的養殖手法

鹿児島県:日本一の生産量

鹿児島は大隅半島の豊富な地下水と温暖な気候により、安定した養殖環境を実現。全国シェア約42%でトップを維持しています。志布志市・大崎町・東串良町が主要産地です。

愛知県:伝統と品質の三河一色

愛知県西尾市の三河一色町は「一色うなぎ」のブランドで知られ、創業100年を超える老舗養殖業者が集積。蒲焼き加工も町内で完結するため、産地直送の鮮度が魅力です。

宮崎県:新富町を中心とした生産

宮崎県は温泉熱や地熱を利用した独自の養殖技術が発展。コスト効率と品質を両立した生産で全国3位のシェアを誇ります。

うなぎの仕入れ事情の詳細はうなぎの仕入れルートと価格構造を解説もご参照ください。

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シラスウナギの不漁問題と価格高騰

うなぎ業界最大の課題がシラスウナギの不漁問題です。1960年代には年間200トン以上採取されていたシラスウナギは、2020年代の国内採捕量は年5〜17トン程度(水産庁推計)にとどまっています。

不漁の主な原因

シラスウナギ価格の現状

シラスウナギの取引価格(国産・輸入種苗の平均)は2023・2024年漁期に1kgあたり約250万円と高値でしたが(過去最高は2018年漁期の約299万円)、2025年漁期は約130万円、2026年漁期は約66万円と2漁期続けて下がりました。採捕量は年ごとの変動が大きく、価格も上下しやすい状況が続いています。

業界の構造問題

シラスウナギが天然依存である限り、価格高騰と供給不安は続きます。これがうなぎ専門店経営の最大のリスク要因であり、安定供給ルートの確保が業界の死活問題になっています。

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完全養殖技術の最新動向(人工孵化の研究)

シラスウナギを天然依存から脱却するための「完全養殖」技術の研究が進んでいます。

完全養殖とは

完全養殖とは卵から孵化させ、人工飼育で稚魚を育成し、再び卵を産ませるサイクルを人工的に完結させる技術です。マグロ・ヒラメなどでは既に商業化されていますが、うなぎは生態が複雑で長らく実現困難とされていました。

水産研究・教育機構の成果

2010年、水産研究・教育機構(FRA)が世界で初めてうなぎの完全養殖に成功。これは画期的な成果でしたが、生産コストが1尾約1,800円(2023年度)で、天然シラスウナギが高かった年の取引価格と比べても約3倍と高く、商業ベースには至っていません。

2026年現在の進捗と課題

近畿大学・水産研究・教育機構などが量産化技術の開発を進めており、飼料コスト削減・生存率向上・大量生産システムの構築が現在の課題です。国は「みどりの食料システム戦略」で、2050年までにニホンウナギなどの養殖で人工種苗の比率を100%にする目標を掲げています。

シラスウナギ人工生産の意義

完全養殖が実現すれば、絶滅危惧種ニホンウナギの保護と業界の安定供給が両立します。日本のうなぎ食文化を次世代に継承するために不可欠な技術と言えるでしょう。

養殖うなぎ vs 天然うなぎの違い

養殖うなぎと天然うなぎは味・脂・価格・栄養価が大きく異なります。それぞれの特徴を比較表で確認しましょう。

項目 養殖うなぎ 天然うなぎ
市場流通比率 約99% 約1%未満
価格(蒲焼き1尾) 2,000〜4,000円 10,000〜30,000円
身質 柔らかく脂のり良好 引き締まった身質
味の特徴 濃厚でジューシー 淡白で香り豊か
脂質 多め 少なめ(個体差が大きい)
サイズ 180〜250g(均一) 200〜500g(不揃い)
蒲焼き適性 ◎ ○(焼き加減難しい)

養殖うなぎの強み

養殖うなぎはサイズ・品質が均一で、脂のりが良く蒲焼きに最適。年間を通じて安定供給され、専門店から大衆店まで幅広く使われます。価格も天然の1/5〜1/10と手頃で、消費者がうなぎを楽しむ大前提となっています。

天然うなぎの希少性

天然うなぎは河川や湖で漁獲され、季節性が強く流通量も極めて少ないのが特徴。野趣溢れる香りと引き締まった身が魅力で、高級料亭や専門店でしか味わえません。

どちらを選ぶべきか

蒲焼きで食べる場合は脂のある養殖うなぎの方が好まれる傾向があります。希少性や香りを楽しみたい場合は天然、コスパと安定品質を重視するなら養殖、というのが一般的な選び方です。

国産・海外産の違いの詳細は国産うなぎと中国産の違いを徹底比較もぜひ参考にしてください。

持続可能なうなぎ業界と猫家のこだわり

うなぎは日本の食文化の象徴であると同時に、絶滅危惧種としての保全課題も抱えています。業界全体で持続可能性への取り組みが進んでいます。

業界全体の取り組み

猫家のうなぎ

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テイクアウトも取り入れたうなぎ屋という選択

猫家は店内でのご提供に加えて、テイクアウトやデリバリーサービス(Uber Eats・出前館など)も取り入れたうなぎ屋のFCです。席数が少ない小さなお店でも売上を確保しやすく、加盟金は150万円(保証金込み)、ロイヤリティは売上の4%(最初の3店舗はモデルケースとして3%)です。

テイクアウト市場の動向はうなぎテイクアウト市場の最新トレンドもご覧ください。

猫家FCの仕入れ

うなぎの仕入れは本部が担います。加盟店オーナーは仕入れ先を探したり価格を交渉したりする必要がなく、店舗運営に時間を使えます。

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よくある質問(FAQ)

日本で流通するうなぎの何%が養殖ですか?
日本で流通するうなぎの約99%が養殖うなぎです。天然うなぎは年間漁獲量が極めて少なく、市場全体の1%未満。一般的な飲食店や小売店で販売されているうなぎはほぼすべて国内産または輸入の養殖物です。天然うなぎは高級料亭などごく限られた場所でしか味わえません。
シラスウナギとは何ですか?
シラスウナギとは、うなぎの稚魚のことで、体長5〜6cm・体重0.2g程度の透明な姿をしています。日本の養殖うなぎはこのシラスウナギを天然で捕獲し、養殖池で半年〜1年半育てて出荷します。シラスウナギの完全人工生産はまだ商業化されておらず、天然依存が業界最大の課題となっています。
完全養殖うなぎはいつ実用化されますか?
水産研究・教育機構が2010年に世界初のうなぎ完全養殖に成功していますが、商業ベースの大量生産はまだ実現していません。2026年現在、人工シラスウナギの生産コストは1尾約1,800円(2023年度)で、天然シラスウナギが高かった年の取引価格と比べても約3倍と高額で、コスト削減と量産技術の確立が課題。国は2050年までにニホンウナギなどの養殖で人工種苗の比率を100%にする目標を掲げています。
養殖うなぎと天然うなぎの違いは何ですか?
養殖うなぎは脂のりが良く身が柔らかいのに対し、天然うなぎは身が引き締まり淡白で香りが豊かという特徴があります。価格は天然が養殖の3〜10倍と高額。栄養価はほぼ同等ですが、養殖は脂質がやや多めです。一般的な蒲焼きには脂のある養殖うなぎの方が適しているとされ、専門店でも養殖が主流です。