経営ノウハウ 衛生管理 2026年版 2026年8月10日

うなぎ屋の衛生管理とHACCP対応
食中毒を防ぐ温度管理と記録の基本【2026年版】

この記事の結論

  • 食品衛生法の改正で、小規模なうなぎ屋も含め、原則すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められます。
  • 特に注意すべきは冷蔵の温度管理と、調理後から受け渡しまでの時間で、毎日決まった時間に確認して記録します。
  • 土用の丑の日は需要と食中毒リスクのピークが重なるため、忙しい日こそ手順と記録を省略しない仕組みが必要です。

飲食店にとって食中毒は一度でも起こせば経営が終わりかねないリスクです。しかもうなぎ屋は、需要のピークが気温の高い夏場(土用の丑の日)に集中するという、衛生管理上きわめて不利な条件を抱えています。本記事では、うなぎを扱う店舗が押さえるべき温度管理・記録の基本と、テイクアウト業態特有のリスクへの対策を整理します。

HACCPは今や「義務」である

日本では食品衛生法の改正により、原則すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められるようになりました。小規模な飲食店も例外ではありません。

小規模事業者向けの簡略化された方式

小規模な飲食店については、業界団体が作成した手引書に沿った簡略的な運用が認められています。高度な設備や専門知識が必須というわけではなく、実務としては「決めた手順を守り、記録を残す」ことが中心になります。

やるべきことの本質は3つ

記録がなぜ重要か

万一のトラブル時、「適切に管理していた」ことを証明できるかどうかで結果が大きく変わります。記録は保健所対応のためだけでなく、店を守るための備えです。

うなぎ屋で特に注意すべき管理点

1. 冷蔵の温度管理

うなぎは高単価かつ傷みやすい生鮮食材です。冷蔵庫の温度を毎日決まった時間に確認し、記録します。庫内温度が上がっていた場合、その時点の在庫をどう扱うかもあらかじめ決めておく必要があります。

2. 調理後から受け渡しまでの時間

調理したうなぎを常温で長時間置いておくのは避けるべき運用です。受け取り時間に合わせて調理の段取りを組み、調理から受け渡しまでの時間の上限を明確にします。繁忙期は「早く準備したい」という圧力がかかるため、ここが崩れやすい箇所です。

3. 加熱の温度と時間

うなぎは焼きの工程を経るため加熱されますが、「見た目で判断しない」ことが原則です。中心部まで十分に加熱されているか、基準を決めて運用します。

4. タレの管理

うなぎ屋のタレは継ぎ足して使われることが多く、管理が属人的になりやすい部分です。保管温度・加熱の頻度・容器の洗浄について、明確なルールを定めてください。

5. 交差汚染の防止

生の状態のうなぎと、加熱後の商品が接触しない動線を確保します。まな板・包丁・トング・手袋を用途ごとに分けることが基本です。

夏場・繁忙期こそ最大の危険

うなぎ屋の衛生管理における最大の課題は、需要のピークと食中毒リスクのピークが完全に重なることです。

土用の丑の日に重なる3つのリスク

リスク要因なぜ危険か
高温多湿細菌が増殖しやすい環境そのもの
大量の仕込み通常より長時間、食材を扱う・保管することになる
現場の混乱人手が足りず、手順が省略されやすい
持ち帰り時間購入から喫食までの時間が長くなる

繁忙期の対策

「今日は忙しいから」が事故を生む

食中毒事故の多くは、手順を守れないほど忙しい日に起こります。繁忙期こそ、少ない手順で確実に守れる仕組みが必要です。繁忙期の準備は土用の丑の日の繁忙期対策もご参照ください。

テイクアウト業態特有の注意点

持ち帰りは、店内飲食と異なり店を出た後の時間が発生します。ここに固有のリスクがあります。

購入から食べるまでの時間

客がすぐに食べるとは限りません。「本日中にお召し上がりください」といった案内を明示し、夏場は特に保冷への配慮が必要です。

容器と包装

高温の商品を密閉すると結露が発生し、品質劣化の原因になります。商品特性に合った容器を選ぶことは、衛生面でも品質面でも重要です。

表示の義務

販売形態によっては、アレルゲンや消費期限などの表示が求められる場合があります。地域の保健所に確認し、適切な表示を行ってください。

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記録は「続く形」にする

衛生管理で最も多い失敗は、最初だけ記録して続かなくなることです。

続けるための3原則

記録が経営にも効く

温度記録や廃棄記録は、衛生管理のためだけのものではありません。廃棄量の記録は原価管理に直結し、どの商品がどれだけロスしているかを把握できます。衛生と収益の両方に効く仕組みとして設計してください。

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衛生管理は、保健所の指導や業界団体の手引書に沿って、お店ごとに手順と記録の仕組みを整えることが基本です。この記事で紹介した温度管理・時間管理・記録のポイントを、開業準備の段階から意識しておきましょう。

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よくある質問(FAQ)

小規模なうなぎ屋でもHACCP対応は必要ですか?
必要です。食品衛生法の改正により、原則すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められます。ただし小規模な飲食店については業界団体の手引書に沿った簡略的な運用が認められており、実務としては「決めた手順を守り、記録を残す」ことが中心になります。
うなぎ屋で最も注意すべき衛生管理は何ですか?
冷蔵の温度管理と、調理後から受け渡しまでの時間管理です。うなぎは高単価かつ傷みやすい生鮮食材のため、庫内温度の日々の確認と記録が基本になります。また調理後に常温で長時間置かないよう、受け取り時間に合わせた段取りを徹底すべきです。
なぜ土用の丑の日が特に危険なのですか?
需要のピークと食中毒リスクのピークが完全に重なるためです。高温多湿の時期に、通常より大量の仕込みを行い、現場が混乱して手順が省略されやすくなります。さらに持ち帰りでは購入から食べるまでの時間も長くなります。
テイクアウトで特に気をつけることは何ですか?
店を出た後の時間を考慮することです。「本日中にお召し上がりください」といった案内を明示し、夏場は保冷への配慮が必要です。また販売形態によってはアレルゲンや消費期限の表示が求められる場合があるため、保健所への確認が必要です。
記録が続かないのですが、どうすればいいですか?
項目を絞る・時間を決める・担当を決めるの3点です。重要な管理点だけに限定し、開店前や閉店後といったルーティンに組み込み、担当者を明確にします。「誰かがやる」という状態は「誰もやらない」につながります。